僕等はまだ恋を知らない
「あ、大翔!」
ようやく人混みの中に大翔の姿を捉える事ができた。
ヒラヒラと手を振りながら近づく私に気づいたみたいで「どうしたんだよ」と声を掛けてくれる。
「やることなくて暇だったから、様子見に来ちゃった」
「あー、帰宅部少ないもんな」
大翔の手には数枚のビラがある。
たぶんビラ配りでもしてたんだろう。
「何か手伝える事とかある?」
「んー、特に無いんだよなぁ。もうビラも少ないし」