僕等はまだ恋を知らない
私は所詮、九条くんにとってその程度の存在なんだって思い知らされたから。
近くに居てわかったの。
私のことなんて、なんとも思ってないんだって。
手を伸ばせば届く距離なのに、触れたら全てが壊れてしまいそう。
大切にしていたリボンが簡単に切れてしまうように。
私たちの固く結ばれた関係も、すぐに解けて消えてしまう。
「え〜、絶対あるよ!理想のタイプ!」
だから今日も私は、心にそっと鍵を掛ける。
「んー、じゃあ私も沙耶がタイプかな?」
本音を隠して、いつも通り笑って過ごす。
この想い、届かないのかな。