僕等はまだ恋を知らない
「……………沙耶っ…!」
だけどそんなことはなく、すぐに大翔くんの大きな手が私の体を突き放した。
勢いで弾けた傘は、いつの間にか地面に転がっている。
「どうしたんだよ……」
唇を手で押さえる大翔くんの姿に胸が痛む。
そんなに、嫌なの?
これがもし澪だったら大翔くんはどうしてた?
「好きなの………」
ようやく言えた言葉も、今となっては無意味だ。
大翔くんを困らせるだけの最悪の言葉。