僕等はまだ恋を知らない


このまま授業を受けていたら、そのうち倒れてしまいそう。


次の授業が終わったら帰れるし、今はとりあえず保健室で体を休めたほうがいいかもしれない。





「ーーー………先生、具合が悪いので保健室に行ってきます」



ガタンと椅子を引き、軸が定まらない右手を弱々しく挙げた。


「おぉ、大丈夫か?えっと……このクラスの保健委員はー………」



「ひ、1人で平気です………」



その言葉だけを言い残し、フラつく体で教室のドアを開ける。



大翔くんも、澪も、九条くんも、私を見ていた。


みんな、何か言いたそうな顔をして。


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