僕等はまだ恋を知らない
「具合悪いやつを1人で帰す訳にはいかねぇだろ?」
「バカなやつ」とダルそうに髪の毛を搔き上げた。
「でも、私は澪じゃないのに………」
優しくするのも、意地悪するのも、澪だけなのは知っている。
九条くんにとって、澪は特別な存在。
私は特別な存在の隣にいるただの友達。
そんな澪でもなんでもない私に、優しさを向ける九条くんが信じられない。
「俺のこと、友達すら迎えに行かねぇ冷たいやつとか思ってるわけ?」
「九条くんが優しいのは、私が澪の友達だからでしょ……?」