僕等はまだ恋を知らない


居た。

ちゃんと、ここに居た。


私のことを大切に思ってくれる人が。

澪じゃなくて、私だからと言ってくれる人がいる。


大翔くんにフラれてから、世界の全てが敵に見えて仕方がなった。


怖くて、辛くて、誰かの優しさを求めていた。




「な、なんで泣くなんだよ!?」



九条くんの優しさが嬉しくて、自然と涙が溢れ出る。


優しく頭を撫でてくれる大きな手を持つこの人を、離したくない。


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