僕等はまだ恋を知らない


「九条くんは….……私のこと嫌い?」


「嫌いなわけねぇだろ」


いつもより甘くて低い声が、壊れかけた私の心を優しく包んでくれる。


1人じゃないんだと教えてくれた。



「じゃあ………好きでいてくれる?」




「あぁ、好きだよ」



「…………っ……ありがとう……」





何かを感じたのか、九条くんは私の体を優しく抱き寄せてくれる。


その優しさにすがるように、ぎゅっと強く抱きしめた。


< 297 / 434 >

この作品をシェア

pagetop