僕等はまだ恋を知らない
第5章
淡くにじむ叶わない恋色
なんで気づいてあげられなかったんだろう。
いつもと違うの、わかってたのに。
深く追求するのが嫌だとわかっていても、放っておくのはもっとだめ。
沙耶のこと、なにもわかってないじゃん。
「私!沙耶に鞄届けに行く!!」
結局沙耶は放課後になっても戻って来なかった。
顔色も悪かったし、そうとうやばいんだろう。
沙耶が心配で頭がおかしくなりそうだよ。
「大翔、九条くん、一緒に沙耶のとこ行こう」
「俺も気になるし一緒に行くかなー」
九条くんはすぐに賛同してくれた。
でも、大翔はちゃんとこっちを見てくれない。