僕等はまだ恋を知らない
「俺は………部長に沙耶が休むこと言わないといけないし、2人で行って来て」
「そ、そっか……」
沙耶だけじゃなくて、大翔も同じ。
朝からずっと様子がおかしいの知ってたのに、聞かない方がいいと言い聞かせてた。
聞くのが怖かったんだと思う。
「行こうぜ、倉橋」という九条くんの言葉にも、無言で頷くしかなかった。
沙耶の鞄をぎゅっと抱えながら、九条くんと廊下を歩く。
九条くんが隣にいると、いつもならドキドキするのに。
今日は何もない。