僕等はまだ恋を知らない
「香月が来ないなんて珍しいな」
「え?どうして?」
「あいつ、心配性じゃん」
九条くんは気づいてないんだろうか。
2人同時におかしいってことは、2人の間に何かがあったってこと。
私の知らないところで喧嘩でもしたのかな。
それだったらそうとう深刻だ。
具合悪くなって保健室に行くくらいだもん。
本人に聞いても、いいのかな?
「おーい、倉橋」
廊下を歩いている途中に、聞き慣れた声が目の前から飛んできた。
「先生……!」
ヒラヒラと振るその手には、鍵が摘まれている。
なんか、嫌な予感。