僕等はまだ恋を知らない
「今日の週番倉橋だったよな?この鍵、職員室に返しておいてくれないか?」
「えー……自分で返しに行って下さいよ」
「俺は別に仕事があるんだ」
週番って先生の魔法の言葉みたい。
週番なら何でも頼んでいいっていう先生の中のルールを変えて欲しいところだ。
「よろしくな」と鍵を渡されてしまい、もう断るのも疲れてくる。
私の言葉も聞かずに先生はすぐどっかいっちゃうし、本当ため息を吐きたい気分。
「鍵返して来るから九条くんは先に行ってていいよ」
「いや、別に俺も………」
「沙耶が心配なの。お願いね」
「了解、先行くわ」