僕等はまだ恋を知らない
笑顔の裏に隠された秘密
「沙耶、どうしてるかな…………」
昨日のことが気になりすぎて早く目覚めてしまった。
制服に袖を通しながらも気は落ち着かない。
あの後、大翔は1度部活に戻り「休んできた」と笑って私のところまで来てくれた。
「ちょっと待ってて」と言うものだから何かと思えば、わざわざ休んでくれたなんてびっくり。
ほんと、大翔らしいななんて思いながら、家に帰る途中にある公園でしばらく話をした。
九条くんが沙耶に告白をしていたこと。
九条くんが沙耶を抱きしめていたこと。
見たこと、感じたこと、全部。
何度も泣いてしまったけど、「ゆっくりでいい」と頭を撫でてくれた感触が今でも忘れられない。
大翔が幼なじみで良かったと改めて感じた時間。