僕等はまだ恋を知らない
い、今の声………。
「沙耶!?」
勢いよく私に飛びついたのは沙耶だった。
ぎゅっと首を絞められ、体に重みも感じる。
「えへへ」と笑ってるけど、こっちは笑えない。
突然の展開になんて言ったらいいのかわからなくて、頭がこんがらがってくる。
「勢いで飛びついちゃった。おはよう」
ニコッといつも通りに笑う沙耶にドキッと心臓が跳ねた。
「大翔くんも、おはよう」
「あぁ………おはよ……」
さすがに大翔も今の状況についていけてないみたいだ。
目を丸くして、何度も鞄を肩に掛け直している。