僕等はまだ恋を知らない
「そんなことより、早く行かないと遅刻するぞ」
「たしかにそうだね!行こっか」
グイッと腕を引かれ、ニコニコと変わらない笑顔で私を見る沙耶。
なに………考えてるんだろ……。
聞きたいことはたくさんあるのに、こんな調子じゃ聞きにくい。
とっさに話を止めてくれた大翔も、歩きながらチラチラと沙耶を見てる。
沙耶のこと、全然わかんないよ。
幼なじみなのに、親友なのに、こんなに距離が遠いいの?
ぎゅっとつかまれる腕からは、沙耶の気持ちなんて伝わってくるはずもなくて。
変わらずに通りに話していたら、いつの間にか学校に着いてしまっていた。