僕等はまだ恋を知らない
「私ね、澪のその曖昧なところが大っ嫌いなの」
そしてすぐにガンッという音と共に、沙耶の手にしていた缶ジュースが地面へと落ちた。
「…………さっ……」
なんとか出た声も、沙耶には届かない。
「………先に行くね」
そう言って、すぐに背を向け離れて行く。
待ってよ。
行かないで、沙耶。
心の中では何度も叫んでいるのに、音になることはない。
ただ離れていく背中をボー然と眺めるだけ。