僕等はまだ恋を知らない


今まで幸せしか知らなかった。


些細なことで喧嘩をすることだってたくさんあったし。

何日も口を聞かなかったことだって少なくない。


だけどそれはたとえ喧嘩をしていても、相手を、沙耶を信じていたから。


固い絆で結ばれた私たちの友情は消えることはないと思っていた。



「ほんと、そんなはずなかったのにね……」


そう思っていたのは私だけ。

沙耶は違った。


ねぇ、いつから本当のこと言わなくなったの?


もっと早く教えてくれてもよかったのに。


< 351 / 434 >

この作品をシェア

pagetop