僕等はまだ恋を知らない
玄関で急いで靴を履いていると。
「っ澪!大丈夫なの!?」
ちょうどお母さんが後ろからびっくりした顔で近づいて来た。
たくさん迷惑かけた。
家に帰ったらちゃんと謝るから。
今だけ…………。
「うん!学校行ってくる!!」
少しでも安心させてあげたくて、今できる最高の笑顔で手を振ってから玄関のドアを開いた。
「…………っ……眩しい」
ずっと暗いところにいたせいで明るい光にまだ慣れない。
太陽ってこんなに眩しくて、暖かいんだ。
「よしっ!」
雲ひとつない青空の下、学校までの道を全力で駆け抜けた。