僕等はまだ恋を知らない


なんで、こんなところで寝てるの………。


早く離れたいのに、後ろに足が動かない。

それどころか、引き寄せられるように九条くんへと体が動く。


初めて会ったあの時も、自然と九条くんに引き寄せられていた。

不思議な魅力……。


恐る恐る手を伸ばし、柔らかい髪の毛に触れると。

サラサラ………。

心臓が飛び出そうなほど緊張感がある。


こんなにじっくり九条くんを見るのは初めてかもしれない。

まつ毛も長いなぁ。


今度はゆっくりと頬に手を当てた。

やっぱり……白い。


このまま九条くんを連れ去ることができたらいいのに。

2人だけの世界になったら、私を好きになってくれるのかな。


なんて。


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