僕等はまだ恋を知らない
「………んっ……」
わっ!
小さな声を漏らしながら、九条くんの体が少し揺れる。
ビクッと驚いて手を離せばすぐに動きは止まって「ふぅ…」と安心の息を吐いた。
起きたのかと思ったよ……。
「もう……びっくりさせないでよね」
ツンツンと頬を触れば、無防備な九条くんに何かイタズラでもしたくなる。
今なら何をしてもきっとわからない。
聞こえなければ、言ってないのと同じだ。
「………」
ドクン、ドクン、と全身が心臓になったみたいに熱い。