僕等はまだ恋を知らない


サラサラの髪の毛からのぞく耳元で。



「好き…………」



そっと、ささやいた。


「…………なんて、バカだな私」


こんなの反則だよね。

やっぱり私はずるい。



「澪…………?」


え?


突然、私以外の声が耳に入り込んできた。

ここには私と寝ている九条くんしか居ない。

声が聞こえるなんておかしいよ。


そんなの…………。



「九条くん……起きて…………」


今の、聞かれた?


九条くんが「好き」って。


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