僕等はまだ恋を知らない
「………なんで、離してくれないの……」
「お前が逃げようとするから」
「別にいいじゃん…………九条くんは沙耶が好きなんだから、私なんて……」
私なんて、どうでもいいじゃない。
所詮、ただの友達なんだから。
「はぁ?何言ってんだよ」
「隠さなくても知ってるよ!保健室で九条くんが沙耶に好きって言ってるとこ見たんだもん」
あれは紛れもなく九条くんだった。
今でもこびりついたように離れない、あの瞬間。
夢じゃなかったもの。