僕等はまだ恋を知らない
「………………ふぅー……」
深呼吸を繰り返してようやく落ち着いたかもしれない。
震えもたぶん止まっている。
放課後を告げる鐘が鳴るまでここに居よう。
知ってる人に会わないよう身を潜めながら、今度こそ沙耶を見つけるんだ。
そして、全てが終わったら九条くんにもちゃんと伝え直すつもり。
思ってることを全部打ち明けるよ。
「勇気、ちょうだいね」
九条くんから貰った赤いリボンにそっと触れながら、時間が過ぎるのを待ち続けた。