僕等はまだ恋を知らない
九条くん、教室に居たの……?
沙耶や一緒に帰る大翔のことばかり考えていたせいで、九条くんを意識していなかった。
すぐにまた教室を覗くと「んだよ」と九条くんがダルそうに頭をわしゃわしゃとかき乱している。
九条くん、放課後になったらいつもすぐ帰るのに…………珍しいな。
「次の授業で使うこのプリント、ホッチキスで閉じといて」
「はぁ!?」
九条くんの声と共に、机の上にドサッと置かれた大量のプリント。
それを頼んだのは当然私たちの担任の先生。