僕等はまだ恋を知らない


ほっと胸を撫で下ろしていると。


「俺は帰るから他の人に頼め」


ガタンッと椅子を引き、九条くんが私の居るドアに向かって歩き始めた。


えっ!?

こっ、こっちに来る!?



「…………九条、5時間目の授業サボっただろ?」



「だからなんだよ」


「残念ながら5時間目は俺の授業でねぇ………成績を下げられたくなければ文句言わずにやってほしいんだけど………?」


「…っ……脅しやがって………」


先生のあんな怖い笑顔は初めて見たかもしれない。


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