僕等はまだ恋を知らない


ごめんね九条くん………。

ちゃんと話すから、待ってて……。


叫びたくなる気持ちを堪えて、グッと唇を噛み締めた。


ここに留まっていても仕方ない。

沙耶のところに行こう。


パチンパチンとホッチキスと戦う九条くんを1度瞳に映してから、教室を離れた。


顧問の先生と話してるなら、たぶん部室に居るだろう。



「はぁ……はぁ…」と息を漏らしながら、部室に続く道を走り続けた。


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