僕等はまだ恋を知らない
さ、沙耶だ………。
突然沙耶が出てきたものだから、反射的に近くにあった茂みへ逃げ込んでしまった。
こっそり様子を伺うと。
「お疲れ様。気をつけて帰れよ」
「はい、先生もお疲れ様でした」
頭を下げている沙耶と、校舎へと向かって行く先生が見えた。
もしかしてちょうど終わった?
周りには誰も居ないし、沙耶1人だけ。
今がチャンス………!
「ふぅ……」と1度息を整えてから、ゆっくりと沙耶に近付き。
「沙耶………」
動かずに部室の前に居た沙耶の背後から声を掛けた。