僕等はまだ恋を知らない
「急にどうし………」
「私ね、こんなに苦しいならいっそのこと沙耶を嫌いになればいいのにって思った」
沙耶に嫌われてずっと部屋に引きこもっていたんだもの。
「そうすればすぐに楽になれるって………」
九条くんを今さら忘れたって、沙耶との関係は戻ったりしない。
沙耶を嫌いになるのが1番手っ取り早かった。
でもね。
「でも、無理だったよ」
大好きだった人をそう簡単に嫌いになれるわけがなくて。
嫌われたのなら、その気持ちと向き合いたいという思いが高まっていった。
「だって、沙耶は大切な親友だから」
幼い頃、一緒に過ごした宝物のような日々は消えたりしない。
私の思い出として今でも輝いてる。