僕等はまだ恋を知らない
九条くんには悪いけど、ちょっと先生には感謝してる。
先生が仕事を頼んでくれたおかげで、こうして九条くんが教室に残ってくれた。
そのおかげで私はすぐにでも言えるんだ。
人生初の告白ってやつ。
こういう緊張感は初めて。
テストの答案が返ってくるときとか、授業中で当てられないかそわそわするあの緊張とは全くの別物。
怖いはずなのに、今すぐにでも飛び出したいくらいの変な気持ち。
「…………ふぅ……」
1度大きく深呼吸をしてから、そっとドアに手を掛けた。
告白前のおまじないとか、儀式とかいろいろ調べておけばよかったかな。
……いや、私にはそういうの似合わないかな。
どうせなら笑って。
とびっきりの笑顔で九条くんに言うんだ。