僕等はまだ恋を知らない
わ、私は………………。
「九条くんと初めて一緒に帰ったときから、かな………?」
「俺より後じゃねぇか。ムカつくなぁ……」
「九条くんはマラソン大会のときから?」
「………お前にそのリボンをあげた日からだよ」
そう言って、しゅるっと私のリボンを解いた。
「リボン1つであんな笑顔見せられたら誰でも惚れるっつーの」
解いたリボンを見つめながら照れ臭そうに笑う九条くん。
そうか、九条くんの始まりはあの日だったんだ。
私にとっても忘れられない大切な日。
「ありがとね」
「なにが?」
軽く首を傾げるその仕草が可愛くて、つい顔が緩んでくる。
「私を好きになってくれて」
こんなニヤついた顔で笑ったら、ちょっと変に思われるかな。