僕等はまだ恋を知らない
「ったく……急にそんな可愛い顔するな」
「え?可愛い?」
「俺以外の男にそんな可愛い顔見せるの禁止」
そう言いながら無理矢理私の手を引っ張って、手首にはさっき解いた赤いリボンが結ばれた。
「なにこれ?」
「手錠」
「えぇっ!?な、なにをーーーー…………」
サラッと変なことを言う九条くんに、当然のように反発しようとしたけど。
ふわりと近づく私の大好きな香りによって、それは遮られてしまった。
そして、夕日に照らされた影が離れた頃には。
「バーカ」
なんて、余裕な笑みを見せる九条くんが瞳に映った。