僕等はまだ恋を知らない
いつもと変わらない答えを言うしかない。
「ご、ごめーーーーー……………」
「人の彼女に告白してんじゃねぇよ」
「っ!?」
最後で言い終わる前に、後ろからぎゅっと体を引き寄せられ、耳元で低い声が囁かれた。
「ひっ!?あっ……ミステリアスヤンキーの九条先輩!?」
「っあぁ!?その名前で呼ぶなっつーの」
さっきまでの緊張はなんだったのか。
私に告白をしてくれたときよりも遥かに彼の緊張具合が増している。
“いつもと同じ”展開か。
「ご、ごめんなさーーーい!!!!」
「ちょっと待って…………って、あーあ……」
私の言葉は彼には届かず、バタバタとどこかへ走って消えてしまった。