僕等はまだ恋を知らない
去っていく男の子の背中を見つめていると、九条くんの吐息が顔に当たったのに気がついた。
あっ、そうだ私………。
「てめぇはバカか!!この野蛮女!!!!!!」
「うっ……………!」
九条くんのバカでかい声は、近くにいるせいで余計耳にキーンと響く。
頭の中までジリジリと痛い。
「俺がたまたま通り掛からなかったら大怪我してたぞ!!!!!」
熱のこもった青い瞳は、私の肩を震わせた。
「ご、ごめんなさい……」
流れるように出た言葉は、息を吐くのと変わらないくらい弱々しかった。