僕等はまだ恋を知らない


「ったく………ちょっとは女らしくしたらどうなんだ?」



大きなため息を吐いてから、私の体をゆっくりと降ろしてくれた。



助けてくれたのに怒鳴ってばかりでちょっと怖い。





でも、よく考えてみたらたまたま通りかかったとしても助けてくれる人なんて居るだろうか?



額に少し光るものがあって、体が熱いのも、少し息が荒いのも、もしかして全部………。



私を助けるために?




「お姫様を助ける騎士みたい」



九条くんが優しくて勇敢なナイトに見えた。




「自分のことお姫様とでも思ってるの?気持ち悪っ」




九条くんの言葉が、私の体をグサリと突き刺すような感覚。



そういうアピールがしたくて言ったんじゃないんだけどなぁ…………。




「いや、騎士みたいにかっこいいなって意味だから!!」



九条くんには上手く伝わらない。


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