僕等はまだ恋を知らない
言ったのは私なのに、そろそろ恥ずかしくなってきた。
突然「騎士みたい」なんて、乙女脳にもほどがある。
普段からそんなこと考えているわけではないけど、正直に口にした感想がそれだった。
「あはは、髪の毛ボサボサ…………」
言葉を誤魔化すように、髪の毛に付いていた葉っぱやらなんやらを手で払い始めた。
顔が赤いの気づかれるかな?
その辺も配慮して、顔をサッと隠した。
「おい、なんか落ちたぞ」
「え?」
せっかく隠していた顔を上げて、九条くんの手が見えた。