僕等はまだ恋を知らない
「赤い……リボン」
ギリギリ視界まで見える長さ。
さっき九条くんが近づいたのは、これを結ぶためだったんだ。
「どうしたのこれ?」
「買った菓子に付いてた」
九条くんの鞄の中からチラリと見えるのは、クッキーの袋。
包装紙の感じからして、たぶんおかし屋さんとかに売っているやつ。
「………よりによってお菓子についてたリボンだなんて」
「あ?なんだよ文句あんのか?」
そんなの、決まってるじゃない…………。