僕等はまだ恋を知らない


「九条!買って来てもらっておいて「ありがとう」の1つも言えないのか!?」



「はぁ???」



さっきまでオムライスを頬張っていた大翔が、ガタンと椅子を鳴らした。



その音にびっくりして、パックジュースを飲んでいた沙耶がむせている。



「だいたい澪に馴れ馴れしすぎだろ!」



大翔はいったい何に対して怒ってるんだろう。



買って来てあげたことに対して、「ありがとう」もないから?



私は…………感謝とか謝罪とか、言うタイミングをいつも逃してきたからなぁ。



特に気にもならなかった。


< 79 / 434 >

この作品をシェア

pagetop