僕等はまだ恋を知らない
「沙耶っ!おはよー」
ぎゅっと抱き着きに行くと、相変わらず小さい。
私の腕にもすっぽりとハマってしまいそうだし、もう少し力を入れたら折れるんじゃないかと心配するくらい細い。
「澪、髪の毛のリボンが取れそうだよ?」
「へ?」
さっき頭を触ったからだろうか、たしかに髪の毛に結びつけているリボンが緩んでいた。
私に抱きつかれながらも「結び直してあげるね」と言い、沙耶の細い腕が髪の毛まで伸びてくる。
「はいっ、直ったよ」
「ありがと〜」
沙耶の背中に回していた腕を解き、スマホの画面を利用して髪の毛をチェック。
軽く触ってみると、今度はしっかり結ばれているのがわかる。