僕等はまだ恋を知らない
「澪はどっちに勝ってほしいの?」
「え!?沙耶までそんなこと……」
周りに居た女子がいなくなり、沙耶が徐に口を開いた。
沙耶も私と一緒でこんな変な勝負認めてないと思ってたのに、違うの?
「どっちが勝っても私は2人の言いなりになったりしないよ」
どっちが勝っても言うことなんて聞いてあげないんだから。
「澪ってさ、大翔くんのこと……………」
「ん?」
ボソッと小さな声だった。
沙耶の声は風に運ばれるように、私に届く前に消えてしまった。