ウサギとカメの物語
1 ウサギの失態と、カメの助け。
私の名前は、大野梢。
友達や仲のいい同僚にはコズって呼ばれている。
身長は163センチ。
出来れば160センチくらいで抑えておきたかったけれど、伸びる身長は止めることなんて出来るわけもなく。
165センチになったらどうしようかな〜と思っていたら、その2センチ手前で成長は止まった。
どんなに食べてもなかなか太れず、薄っぺらい体になってしまったのは、おそらく母親の遺伝だと思う。
おかげさまで貧乳という部分まで見事に受け継いでしまった。
顔は……ブサイクではない、と信じたい。
一応目は二重で「おっきい目だね〜」とか言われるし、鼻も団子っパナでもないし。
唇が薄めなのがコンプレックスだけど。
海外セレブみたいなセクシーな分厚い唇に憧れる、薄い唇女。
髪型はボブを少し伸ばした感じ。
前髪長めで流していて、いつもおデコは出している。
3日前に行った美容室で、色が抜け始めた髪の毛をダークブラウンに染め直した。
自己分析での自分。
根っからの明るい性格に、お酒好きも相まって上からは可愛がられる。
そしてサバサバとした雰囲気だからか、同僚にも後輩にも慕われて、26年間生きてきて友達絡みのイザコザに巻き込まれたことは一度もない。
明るいがゆえに、ゆえにと言うのが悔しいけれど。
好きな人が出来てもたいてい友達止まりになる。
「コズってほんといい奴だよな」って。
それで終わる。
でも時々私の明るい性格に惹かれて、お付き合い出来ることもある。
だけど結果としては「友達の方が居心地よかったな」って言われて、振られる。
まだ26歳だけど、今年で27歳になる。
短大を卒業したあと、新卒で運送会社に事務職として就いてから7年目を迎えた。
勤め始めた頃は、こんな会社は5年で辞めるだろうなって思っていた。
5年もすればその時に付き合っているであろう彼氏と結婚の話にでもなり、めでたく寿退社なんてことになるに違いないと将来を疑う余地もなかった。
それがどうだ。
実際の私は。26歳の私は。
25歳の時に彼氏なんているはずもなく。
むしろ2年ほど彼氏と呼べる異性もおらず。
ポツポツと去年から友達の結婚式に呼ばれ出して、今年なんてトータルで7回も呼ばれてしまった。
友達が多い証拠だけど。
彼氏もいなくて友達の晴れ姿を見守る役目、なんだかちょっぴり切なく感じてきた今日この頃なのです。
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