ウサギとカメの物語


これでもか!というくらいの深い後悔と共に、朝食をもそもそ食べて、牛乳を一気飲みして。
そして、仕事へ向かった。







岩沼支店は市外にあり、電車の乗り換えを1回しなければならないものの、最寄り駅のそばに店舗がある。
なので、通勤自体はそこまで大変ではなかった。
ただいつもよりも長い時間電車に揺られるというだけ。


あらかじめ電車の時間はしっかり調べておいたし、問題なく岩沼支店にたどり着くことが出来た。
年末で忙しいため土曜日も出勤しなくてはならないので、24日から29日まで占めて5日間の勤務となる。


どんな支店なのか、どんな雰囲気なのか。
めちゃくちゃ不安だったし緊張もしたけれど。
実際に蓋を開けてみてビックリ。
とってもいい雰囲気の支店だった。


「おはようございます〜!君が大野さんだね?」


と、事務課のリーダーだと名乗る遊佐さんという30代後半くらいの男性が、明るくほんわかと私を迎え入れてくれた。


本社に比べたら驚くほどに規模が小さくて、こじんまりした事務所。
受付も1つしかないし、ひとつの空間にすべての部署が集約されていて、誰かを呼ぶ時は内線を使うとかじゃなくて「おーい!〇〇さーん!」みたいな感じで手を振るっていう。


こりゃ〜新鮮だ!
なんだかアットホーム。
そしてみんな優しい。
なにしろ私の妖怪レベルの瞼に触れることなく、あったかく接してくれるんだもの。
ありがたいことこの上なかった。


任された仕事も、本社でやっている事務作業の基本的なものばかりで。
体調を崩した妊婦さんがやっていた重要な仕事はきっちり他の人に任されていて、私はどっちかと言えば雑用みたいなことをした。


でも来たことない支店での仕事だから、それくらいがちょうどよかった。
ここでバリバリ働けって言われても、それはそれで困っただろうから。


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