Memories of Fire
「ジークベルト、あんまり心配するな。ハンナはこれでも王家の教育を受けた王女だ。教養だけじゃなく、魔法を使うために身体を鍛える訓練もしている」
「ほら、ヴォルフ兄様はちゃんとわかっているでしょ? 倒れたことなんて一度もないもの」
ハンナを援護してくれる発言に、思わずフフンと鼻を鳴らしてジークベルトを見る。すると、彼はやはり呆れたといわんばかりに天井を見上げて肩を竦めた。ヴォルフも笑いを堪え切れていない。
ハンナが二人の反応に疑問の表情でフローラを見ると、彼女も小首を傾げてハンナを見つめていた。
「まぁいい。行くぞ、フローラ。ハンナ、痴話喧嘩はほどほどにしろ」
ヴォルフはそのままフローラを伴って、まだ会場に残っている貴族たちのところへ行ってしまう。
「何よ、私だけ注意して……」
ハンナは二人のやりとりに腑に落ちない部分を残しつつ、食事を続けた。結局、ジークベルトが持ってきたお肉とパスタは彼につき返し、彼が残さず食べるという、いつも通りのパターンだ。
ジークベルトは苦い顔をしたものの、先ほどヴォルフに指摘されたからか黙ってそれを食べてくれた。
そして食事を終え、ハンナは満足してジークの腕に自分のそれを絡める。
「ジーク、私たちもそろそろ行きましょ」
「……ああ」
ジークベルトは神妙な顔で頷き、ハンナをエスコートして会場を出た。
「ほら、ヴォルフ兄様はちゃんとわかっているでしょ? 倒れたことなんて一度もないもの」
ハンナを援護してくれる発言に、思わずフフンと鼻を鳴らしてジークベルトを見る。すると、彼はやはり呆れたといわんばかりに天井を見上げて肩を竦めた。ヴォルフも笑いを堪え切れていない。
ハンナが二人の反応に疑問の表情でフローラを見ると、彼女も小首を傾げてハンナを見つめていた。
「まぁいい。行くぞ、フローラ。ハンナ、痴話喧嘩はほどほどにしろ」
ヴォルフはそのままフローラを伴って、まだ会場に残っている貴族たちのところへ行ってしまう。
「何よ、私だけ注意して……」
ハンナは二人のやりとりに腑に落ちない部分を残しつつ、食事を続けた。結局、ジークベルトが持ってきたお肉とパスタは彼につき返し、彼が残さず食べるという、いつも通りのパターンだ。
ジークベルトは苦い顔をしたものの、先ほどヴォルフに指摘されたからか黙ってそれを食べてくれた。
そして食事を終え、ハンナは満足してジークの腕に自分のそれを絡める。
「ジーク、私たちもそろそろ行きましょ」
「……ああ」
ジークベルトは神妙な顔で頷き、ハンナをエスコートして会場を出た。