Memories of Fire
その日の夜。
ハンナが自室のベッドに潜り、寝ようとしたところで右手の人差し指が熱くなった。
ハンナたちが良く使う、魔法を使った連絡方法――炎を介して会話をすることができる魔法だ。
「ジーク?」
ハンナは指に炎を灯し、炎の向こうのジークベルトに呼びかけた。
「ハンナ……良かった。まだ、起きていたか?」
「うん」
「そうか……」
ジークベルトは炎の向こうでホッと息を吐く。安心した様子が伝わってきて、ハンナの胸がキュッと締め付けられる。
「あのさ――」
「あのね――」
と、同時に切り出し、同時に口を噤む。しばらくの沈黙の後、それをジークベルトが破る。
「どうした? 何か、あったのか?」
「ううん……ジークこそ、何かあった?」
「いや、俺は……その、エルマー様から連絡をもらった」
ジークベルトが言いにくそうにしているのがわかる。彼の困り顔を想像し、ハンナはクスッと笑う。
「俺がお前の食事に文句を言う理由……ちゃんと言ったらどうだって、言われたんだ」
「そう……あの、ごめんね……ジークの話、聞かなくて、一人で怒って……」
ハンナはフローラに言われて反省したことを、ジークベルトに告げた。それから大きく息を吸って、震える声を出す。
ハンナが自室のベッドに潜り、寝ようとしたところで右手の人差し指が熱くなった。
ハンナたちが良く使う、魔法を使った連絡方法――炎を介して会話をすることができる魔法だ。
「ジーク?」
ハンナは指に炎を灯し、炎の向こうのジークベルトに呼びかけた。
「ハンナ……良かった。まだ、起きていたか?」
「うん」
「そうか……」
ジークベルトは炎の向こうでホッと息を吐く。安心した様子が伝わってきて、ハンナの胸がキュッと締め付けられる。
「あのさ――」
「あのね――」
と、同時に切り出し、同時に口を噤む。しばらくの沈黙の後、それをジークベルトが破る。
「どうした? 何か、あったのか?」
「ううん……ジークこそ、何かあった?」
「いや、俺は……その、エルマー様から連絡をもらった」
ジークベルトが言いにくそうにしているのがわかる。彼の困り顔を想像し、ハンナはクスッと笑う。
「俺がお前の食事に文句を言う理由……ちゃんと言ったらどうだって、言われたんだ」
「そう……あの、ごめんね……ジークの話、聞かなくて、一人で怒って……」
ハンナはフローラに言われて反省したことを、ジークベルトに告げた。それから大きく息を吸って、震える声を出す。