あなたに伝えたくて

そんなことを考えていたら、彼は私に挨拶をしてきた。

『よろしくね。俺のことは龍星でいいから。』

私も戸惑いながらも挨拶をした。

『あ、鈴楠です。よろしくね。龍星くん。』

『すずなって名前?珍しーな!なんて書くの?』

『いや、苗字です…。すずは普通の鈴でくすのきって書いて鈴楠。』

『え、苗字なの??もっと珍しー!下の名前は?』

『希代です。』

『じゃあ、希代って呼ぶな!』

龍星くんはそう言ってニカッと笑った。

私は、その不意の笑顔に思わずドキッとしてしまった。
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