ヴァイス・プレジデント番外編
ヤマトさんに初対面の人の印象を訊くと、たいてい「ちょっと太め」とか「表情なくて怖い」とか、見た目のことが返ってくる。
こんなふうに、内面について何か言うなんて、まずない。
きっとお兄さんの相手だから、彼なりに一所懸命に観察してきたんだ。
初めて会う人に囲まれて、苦手な場だったろうに、それでも彼女のことを知るために、頑張って会話してきたんだ。
『延大さんは…?』
『幸せそうだったよ。相手の人とも気が合ってるみたいで。向こうのご両親にも、気に入られてた』
私はまた、そうですか、とだけ言い、他になんて言ったらいいかわからなくなってしまった。
すず、と私を呼んで、ヤマトさんが腕に力をこめる。
たぶん彼も、私と同じ思いだ。
『俺、どうするのがいいのか、わからない』
再び鳴ったチャイムに、玄関のロックを解除すると、小振りのキャリーバッグを引いた延大さんが入ってきた。
「久しぶり、元気そうだね、神谷ちゃん」
「本当に、お久しぶりです」
夏前にヤマトさんたちと遊んだことがあって、私が延大さんに会うのは、それ以来だ。
相変わらず陽気に微笑んで、靴を脱ぎながら、お土産、と私にビニールの袋を差し出す。
少し重たいその中身は、細長い紙箱だった。
「わあ、コーディアルですね!」
「効能はデトックスだって。綺麗になっちゃってね」
ありがとうございます、と英国製のハーブドリンクの綺麗な瓶をとり出しながら言うと、変わらない優しい瞳がにこっと笑う。
スリッパを出そうとすると、いいよ、と断られたので、そのまま上がってもらった。
「ヤマトは?」
「まだお休みなんです。昨日、だいぶ飲んでらしたようなので」
「えっ、そうなの? 俺といた時は、そうでもなかったけど」
「そうなんですか」
驚くと、延大さんも驚いたようで、目が合う。
こんなふうに、内面について何か言うなんて、まずない。
きっとお兄さんの相手だから、彼なりに一所懸命に観察してきたんだ。
初めて会う人に囲まれて、苦手な場だったろうに、それでも彼女のことを知るために、頑張って会話してきたんだ。
『延大さんは…?』
『幸せそうだったよ。相手の人とも気が合ってるみたいで。向こうのご両親にも、気に入られてた』
私はまた、そうですか、とだけ言い、他になんて言ったらいいかわからなくなってしまった。
すず、と私を呼んで、ヤマトさんが腕に力をこめる。
たぶん彼も、私と同じ思いだ。
『俺、どうするのがいいのか、わからない』
再び鳴ったチャイムに、玄関のロックを解除すると、小振りのキャリーバッグを引いた延大さんが入ってきた。
「久しぶり、元気そうだね、神谷ちゃん」
「本当に、お久しぶりです」
夏前にヤマトさんたちと遊んだことがあって、私が延大さんに会うのは、それ以来だ。
相変わらず陽気に微笑んで、靴を脱ぎながら、お土産、と私にビニールの袋を差し出す。
少し重たいその中身は、細長い紙箱だった。
「わあ、コーディアルですね!」
「効能はデトックスだって。綺麗になっちゃってね」
ありがとうございます、と英国製のハーブドリンクの綺麗な瓶をとり出しながら言うと、変わらない優しい瞳がにこっと笑う。
スリッパを出そうとすると、いいよ、と断られたので、そのまま上がってもらった。
「ヤマトは?」
「まだお休みなんです。昨日、だいぶ飲んでらしたようなので」
「えっ、そうなの? 俺といた時は、そうでもなかったけど」
「そうなんですか」
驚くと、延大さんも驚いたようで、目が合う。