ヴァイス・プレジデント番外編
じゃあ、帰りにひとりで飲んできたってことか。
めったにそんなこと、しない人なのに。
お昼はまだだと言う延大さんに、何かつくりましょうか、と提案しながらリビングに入りかけたところに。
背後で慌ただしい物音がして、寝室のドアがバンと開き。
振り向くと、起き抜けのヤマトさんの姿が目に入った。
「神谷ちゃん、料理うまいね」
「母が調理師免許を持っていて、それを見て育ったので」
冷蔵庫にあるものでつくった、チャーハンと野菜たっぷりの中華スープを食べながら、延大さんは喜んでくれた。
ダイニングテーブルの向かいで同じものを食べているヤマトさんは、無言だ。
延大さんの声に反応して飛び出してきた時は、Tシャツとボクサーパンツだけという、いつもの寝る時の恰好で。
何か言おうとした彼に、延大さんが、服着てこいよ、とあきれて言った。
手早くシャワーも浴びてさっぱりとしたヤマトさんの髪は、まだ濡れている。
早めに目を覚まして、自分の昼食は終えていた私は、キッチンで食後のコーヒーを淹れていた。
「…兄貴、今日もう、向こう行くの」
「そう、3時の便で」
じゃあもう、出ないとダメだ。
そんな間際に、寄ってくれたんだ。
いや、もしかしたら。
わざわざ間際を選んで寄ったのかもしれない。
「お前が、何か言いたそうだったからさ。顔見とこうと思って」
「別に…」
冗談めかして言う延大さんに、ヤマトさんが不本意そうに顔をしかめる。
ふたりが食事を終えたので、私は食器を下げて、コーヒーを出した。
いつもは自分で片づけるヤマトさんが、申し訳なさそうにお礼を言うのに首を振って、灰皿をふたりの真ん中に置く。
ありがとう、と笑って、延大さんがシャツの胸ポケットから煙草をとり出した。
めったにそんなこと、しない人なのに。
お昼はまだだと言う延大さんに、何かつくりましょうか、と提案しながらリビングに入りかけたところに。
背後で慌ただしい物音がして、寝室のドアがバンと開き。
振り向くと、起き抜けのヤマトさんの姿が目に入った。
「神谷ちゃん、料理うまいね」
「母が調理師免許を持っていて、それを見て育ったので」
冷蔵庫にあるものでつくった、チャーハンと野菜たっぷりの中華スープを食べながら、延大さんは喜んでくれた。
ダイニングテーブルの向かいで同じものを食べているヤマトさんは、無言だ。
延大さんの声に反応して飛び出してきた時は、Tシャツとボクサーパンツだけという、いつもの寝る時の恰好で。
何か言おうとした彼に、延大さんが、服着てこいよ、とあきれて言った。
手早くシャワーも浴びてさっぱりとしたヤマトさんの髪は、まだ濡れている。
早めに目を覚まして、自分の昼食は終えていた私は、キッチンで食後のコーヒーを淹れていた。
「…兄貴、今日もう、向こう行くの」
「そう、3時の便で」
じゃあもう、出ないとダメだ。
そんな間際に、寄ってくれたんだ。
いや、もしかしたら。
わざわざ間際を選んで寄ったのかもしれない。
「お前が、何か言いたそうだったからさ。顔見とこうと思って」
「別に…」
冗談めかして言う延大さんに、ヤマトさんが不本意そうに顔をしかめる。
ふたりが食事を終えたので、私は食器を下げて、コーヒーを出した。
いつもは自分で片づけるヤマトさんが、申し訳なさそうにお礼を言うのに首を振って、灰皿をふたりの真ん中に置く。
ありがとう、と笑って、延大さんがシャツの胸ポケットから煙草をとり出した。