ヴァイス・プレジデント番外編
聞こえたその声に、誰もが虚を突かれた。
城さんが、ゆったりとソファ席の背もたれに寄りかかって、煙草をふかしながら言葉を継ぐ。
「その子にプロポーズしたんだけど、ふられちゃって。だから見合いして、あんたと結婚したんですよ」
「薫、やめろ!」
テーブル越しにつかみかかる勢いでとめようとしたヤマトさんに、うるせえ、と城さんがかなり容赦なくおしぼりを投げつけた。
「本人が知りたがってんのに、お前にこそ、隠す権利なんてねえだろ」
「話のわかる人ね。で、その相手って、誰?」
「久良子ちゃんていう、俺たちと同じ秘書です。もう辞めたけど」
「なんでプロポーズを受けなかったのかしら」
さすがにそこまでは知らないらしく、城さんは肩をすくめる。
「兄貴を好きってのは、間違いなかったみたいですけどね」
「彼女はまだ、独身?」
城さんから視線をもらい、私は思わず、たぶん、とうなずく。
久良子さんが結婚していたとしたら、さすがに和華さんたちから情報が入るだろう。
ヤマトさんは、もうどうしたらいのかわからない様子で、眉根を寄せて、唇を噛んでうつむいている。
そんな彼を眺めながら、脚を組んだルリ子さんが、ふうっとゆっくり煙を吐くと。
突然、これまでの剣幕が嘘のような、ほがらかな、さっぱりした声をあげた。
「そういうことかあ」
城さんが、ゆったりとソファ席の背もたれに寄りかかって、煙草をふかしながら言葉を継ぐ。
「その子にプロポーズしたんだけど、ふられちゃって。だから見合いして、あんたと結婚したんですよ」
「薫、やめろ!」
テーブル越しにつかみかかる勢いでとめようとしたヤマトさんに、うるせえ、と城さんがかなり容赦なくおしぼりを投げつけた。
「本人が知りたがってんのに、お前にこそ、隠す権利なんてねえだろ」
「話のわかる人ね。で、その相手って、誰?」
「久良子ちゃんていう、俺たちと同じ秘書です。もう辞めたけど」
「なんでプロポーズを受けなかったのかしら」
さすがにそこまでは知らないらしく、城さんは肩をすくめる。
「兄貴を好きってのは、間違いなかったみたいですけどね」
「彼女はまだ、独身?」
城さんから視線をもらい、私は思わず、たぶん、とうなずく。
久良子さんが結婚していたとしたら、さすがに和華さんたちから情報が入るだろう。
ヤマトさんは、もうどうしたらいのかわからない様子で、眉根を寄せて、唇を噛んでうつむいている。
そんな彼を眺めながら、脚を組んだルリ子さんが、ふうっとゆっくり煙を吐くと。
突然、これまでの剣幕が嘘のような、ほがらかな、さっぱりした声をあげた。
「そういうことかあ」