ヴァイス・プレジデント番外編
「ひとつのことに、みんなが影響されて。それが家族でしょう?」
その一員に数えてもらえた気がして、嬉しかったんです。
そう伝えると。
笑ってくれるかなと思ったのに、ヤマトさんはなぜか、切なげに眉をひそめて。
私の肩に腕を回して、ごつんと額と額をぶつけて、すず、とつぶやいた。
「好きだよ」
「私も、好きです」
「ずっと、俺といてね」
ささやかれた、その言葉に。
どうしてか、自分の頬を、涙が一筋伝ったのに気づいて、私は驚いた。
ヤマトさんが、キスをくれる。
彼らしい、甘くて優しくて力強い、包みこむようなキスを、ゆっくり、ゆっくり。
ヤマトさんの身体に日差しをさえぎられて、私は少し、ひんやりする風を味わった。
まぶたの裏に、さっきまで見ていた青空が映る。
ずっとそばにいます、ヤマトさん。
あなたが、私を必要としてくれる限り。
本当に好きなんです、ヤマトさん。
男らしいところも、子供みたいなところも、あきれるような一面も、みんな。
ふいに重みを感じて、気がついたら芝生の上に身体を倒されていた。
それでもやまないキスに、向こうの首に腕を回して応える。
着ていたトップスの裾から手がもぐりこんできた時、私はのしかかる身体を全力で押しのけようとした。
けど、無理だった。
「ここを、どこだと思ってるんですか」
「あそこの小学生たちに、大事な教育をね」
ふざけないでください、と小声で叫ぶ合間に、デニムのスカートのボタンが外されて、お腹があらわになるのがわかる。
「ヤマトさん…」
「こんな窮屈なスカートじゃなきゃ、はいたままいけたのにね」
「ヤマトさん!」
私の声は、もう悲鳴に近い。
冗談だよ、とヤマトさんが笑うのがあと一瞬遅かったら、私は本気で彼を張り倒していたに違いなかった。