許嫁な二人
今の自分のどんくさいところを見られていたかもしれない。
そう思った唯はあわてて目をそらす。
そんな唯をみて、透はムッとした。
「どうしたの?」
そんな透の顔色の変化に気づいて、隣に立っていた
佐伯美穂が問いかけてくる。
「なんでもない。」
ぼそっと透がつぶやくと、”そう”といって、美穂はすぐ
前をむいた。
離れの大広間での夕食が終わり、3グループごとにお風呂にはいる
ように言われたが、宿のひとの大きな声で、透たちは広間に
足止めをくらった。
「すみません、離れのお風呂の調子が悪く、入浴は
本館の方でお願いします。」
離れから本館へは、くつをはいて出て向かわなかければ
ならない。
面倒だが仕方がない。
「2、4、6グループの人、先に出発しなさい。」
そう先生に指示されて、透たちはぞろぞろと本館にむかった。