許嫁な二人

 本館のでかい風呂場で、ふざけて遊んだ透たち6グループの
 男子は、みんなよりも少し遅れて離れにもどった。


 自動ドアをあけて入った離れの玄関に、先に帰ったはずの
 女子の何人かが、何事か話しながらかたまっている。

 その中の一人が透たちを見ると、ぱっと身を翻して駆け寄ってきた。

 良世だった。



   「ねえ、瀬戸くんたち、唯ちゃん見なかった?」

   「唯? 碓氷がどうかしたの?」

   「それが、お風呂の途中で気分が悪くなったって言って
    唯ちゃん先にあがったの。でも、私達があがったとき
    姿が見えなかったから、先に離れに戻ったんだと思って。
    でも、離れに来てみたら唯ちゃんいなくて、、、。」



 男湯と女湯は廊下をへだてて、反対になっていたけど、
 唯の姿は見なかった。



   「どうしよう、私、もう一回探してくる。」



 良世はくつをはくと、玄関をとびだしていった。



   「俺も行く。」



 透はあわててそれを追った。
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