許嫁な二人

 
 (だけど、、、)


 と唯は思う。

 抱きしめられた時の透の熱さや、一緒にバス停まであるくとき、
 時々浮かぶ、透の満足げな笑みを見ると、自分が透にとって
 特別なんじゃないか、、、と思ってしまう。

 好きといわれなくても、透にとって一番近い存在でいたい、、、。





 駅前で有未につきあって買い物をすませ、駅ちかくのバス停に
 ついたところで、



   「よお。」



 と声をかけられた。

 みると悠がビニール袋をさげてたっている。



   「めずらしいな、こんなとこで唯に逢うの。」

   「友達の買い物につきあってたの。悠くんは?」
  
   「俺は店の買い出し。」



 どうりで重そうな袋をぶらさげているはずだ。



   「まえに言ってただろう、あの子猫のところに連れて行くって。」

   「うん。」

   「来週の水曜ならいいんだ。冬休みだしちょうどいいだろ。」

   「うん、うれしい。」

   「昼の1時に小里にこれるか?」

   「だいじょうぶ。」



 ずっと楽しみにしていたから、唯はうれしかった。
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